メトロポリタン美術館19年の展覧会は“キャンプ”がテーマ協賛は「グッチ」

ニューヨークのメトロポリタン美術館は、毎夏恒例となっているファッションの展覧会として、2019年は“キャンプ”を取り上げる。会期は5月9日~9月8日。“キャンプ”といっても一般的なアウトドアのキャンプのことではなく、米国の批評家、スーザン・ソンタグ(Susan Sontag)が1964年に発表したエッセイ「キャンプについてのノート」で語られている美学のこと。悪趣味すれすれの過剰性や皮肉がその特徴だ。同展は「グッチ(GUCCI)」の協賛が決まっており、ミラノ・ファッション・ウイーク中に展覧会詳細についての記者会見が開かれた。

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会見に登壇したのは、同美術館の理事でもあるアナ・ウィンター(Anna Wintour)米「ヴォーグ(VOGUE)」編集長、「グッチ」のアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)クリエイティブ・ディレクター、同美術館のアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)衣装研究所キュレーターの3人。会場には、ショーで見かける華やかな編集者やインフルエンサーではなく、新聞系のジャーナリストが中心に集まった。

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アナは、「“キャンプ”を定義するのは難しいが、ソンタグの言葉を借りるなら、過剰性や不自然さを愛すること」と紹介。また、先日亡くなったカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)について触れ、「彼は同美術館に多大な寄付と、120以上のコレクションを提供してくれた。皮肉なウイットを好む彼ならば、今回の展覧会もきっと好いてくれただろう」と述べた。

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ボルトンは“キャンプ”について、「もともとは主に同性愛者のコミュニティーで使われる言葉・感覚だったが、それをソンタグがメインストリームへと導いた。“キャンプ”な美意識は、時代の流れの中で前面に出て来る時がある。ソンタグが本を著した60年代がそうだし、80年代、そして間違いなく今がそうだ」と解説。続けて、「社会や政治が混迷し、世の中が分断されてしまった現代に“キャンプ”の美意識が浮上したことは偶然ではない」と語った。

展覧会では、“キャンプ”がポップカルチャーやファッションにどのように影響を与えてきたかを検証する。14世紀の仏ヴェルサイユの宮廷から現代のドラァグ・クイーンまで対象にし、ウエア、絵画、彫刻など約200点を展示。カールによる「シャネル(CHANEL)」「クロエ(CHLOE)」、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)の「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などが含まれる予定だ。

会見を行ったミラノのジェロラモ劇場には、過剰性の代表ともいえる「グッチ」、痛烈な皮肉が主張する「ヴィクター&ロルフ(VICTOR & ROLF)」の2019年春夏オートクチュールコレクションのドレス、異性装やジェンダーを超えた美を提案するスペインの若手ブランド「パロモ スペイン(PALOMO SPAIN)」を展示していた。“キャンプ”は、意識的無意識的にさまざまなデザイナーが掘り下げてきたテーマ。直近では、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」が18-19年秋冬にテーマに据えていた。

同展の開催に合わせて、5月6日には「メットガラ」が開かれる。レディー・ガガ(Lady Gaga)やハリー・スタイルズ(Harry Styles)などがホスト役を務めるという。